「ストッパーの嘉正がいないとすぐ熱くなるんだから」
やれやれと肩を竦めた来光くん。
そう言われてハッと我に返った。
私たちの悪い癖だ。また"こうだ"と決めつけて、問題に首を突っ込もうとしていた。
あれほど強烈な平手打ちを食らって怒られても、まだ同じことをしようとしている。
深く反省したばかりのはずなのに。
二人はバツが悪そうに首を縮めて下唇を突き出した。
「暴走しようとしたのは俺らが悪かったけどさー、お前だって気になるだろ?」
「そりゃ……友達がああなってるんだから心配に決まってるだろ」
そうだね、と相槌を打つ。
「とりあえず今の話、豊楽先生に伝えとこうぜ。呪いの線もあるかもって────」
「一年の割にはなかなかの推察力だな志々尾慶賀」
無機質な第三者の声に、私たちは弾けるように振り返った。