「なら観月祭のリハーサル見においでよ」


そう笑った聖仁さんに「え!」と声を上げる。


「私が行ってもいいんですか?」

「もちろん。後進の育成のためって言えば中に入れてもらえると思うから、一緒に行こう」

「いいじゃんいいじゃん! 来いよ巫寿!」


聖仁さんと瑞祥さんが二人で奉納舞の練習をしていたのを部活中に時折見ていて、ずっと観月祭の奉納舞がどんなものなのか気になっていたところだった。


「観にいきたいです……!」

「よし! なんなら私の代わりに反橋の上で舞ってみるか!」

「そ、それは遠慮します」


慌てて首を振れば、瑞祥さんはガハガハと笑った。

歩き出した二人の後ろをついて行きながら尋ねる。



「それにしても、観月祭は一月後なのに、もう本格的なリハーサルがあるんですね」


開門祭の神話舞に出た時は、全員で合わせて稽古が始まったのがひと月前で、本番同様の稽古は1週間前からだった。

ひと月前から本番同様の練習をするのは少し早い気がする。


「今日が満月だからな」


にっと笑って窓の外を指さした瑞祥さんに「そういうことか」と大きく頷いた。

観月祭は十五夜、満月の夜に行われる。


本番を想定した練習は、ひと月前の満月の夜じゃないと出来ないということだ。