観月祭……!

そういえば社頭の掲示板にも観月祭のお知らせが張り出されていた。

毎年、十五夜に合わせて行われているお祭りで、主にみんなで月を見ようというお祭りらしい。

本殿で神事が行われた後、まねきの社の庭園にある反橋の上で神楽舞が奉納され、公募で募った月に関する和歌の優秀な作品が献詠(けんえい)されるらしい。


そういえば昨日の古典の授業で、月の和歌を考えてくる宿題が出ていたっけ。



「聖仁さんと瑞祥さん、観月祭で踊るの?」

「そうだよ! 毎年神楽部から男女二人が出ることになってるんだ。今のところ五年連続で聖仁さんと瑞祥さんだけど、私たちもいつか出てみたいよねー!」


うんうん、と玉珠ちゃんが頷く。

その時、予鈴を知らせる鐘が鳴り響いて「あ、ヤバ!」と二人は顔を合わせた。


「それじゃ私たちもう行くね!」

「巫寿ちゃん、授業頑張ってね……!」

「ありがとう、二人も授業頑張って」



走っていく二人に手を振って、私も小走りで教室へ急いだ。