私たちの中でもあまり話題には振れないようにしていた出来事を、私たちの知らないところではそんなことになっていたなんて……。


「ずーっと話を聞きたいと思ってたんです! 巫寿・嘉正担として!」

「みこ、え……? 担?」

「あ、何々担っていうのは、何々のファンって意味です!」

「あ、そうなんだ……」


話の勢いについて行けなくて何だか頭まで痛くなってきたような気がする。

苦笑いでこめかみを押えた。



「あ、あの……巫寿ちゃんって呼んでもいいですか……?」

「あ、玉珠ずるーい! 私も巫寿ちゃんって呼んでもいいですか!?」

「うん、それはもちろんだよ。歳も近いし、なんならここでは二人の方が先輩だし……話し方も固くしないで、気軽に友達みたいに接して欲しいな」


そう提案すれば二人は胸の前で手を組むと感極まったように瞳をうるうるさせながら天を仰いだ。

そんな、大袈裟な……。


それにしても、私たちの知らないところでファンクラブが出来ていたなんて。

通りで最近、廊下を歩いている時にやけに視線を感じたわけだ。


皆に話したら、どんな反応をするだろう?