バシバシと肩を叩かれたが、本当に謙遜している訳でもないし何の話かさっぱり分からない。
「か、開門祭の時、空亡の残穢を封印したって……!」
「あ……」
「やっぱり噂は本当だったんですか!?」
二人は手を取り合って「きゃーっ」と騒ぐ。そんなふたりに思わず苦笑いで頬をかいた。
薫先生からはあの日、まねきの社の御祭神さまが現れて大騒ぎになったと聞いた。その騒動を調べるべく騒ぎを遡った誰かが空亡の残穢の一件を知りいつの間にか生徒の間で広まったようだ。
「巫寿さんたち高等部一年の先輩方が、残穢を封じる鳥居を封印し直したって!」
「間違いでは、ないけれど……そんなに立派な武勇伝じゃないよ」
「それでも凄いです! 中等部じゃ皆さんを讃えるためのファンクラブまであるんですから!」
ファンクラブ!?と素っ頓狂な声を上げる。
あの一件は私達からすれば、自分たちの未熟さが招いたかなり痛い出来事だ。
散々怒られたし迷惑もかけた。そのおかげで夏休みは潰れるし地獄のような補習も受けなければいけなくなった。