来光くんは三馬鹿の二人にはよく怒っているけれど、普段は感情に任せて声を荒らげたり言葉を発したりしない人だ。
他学年とだって上手くコミュニケーションを取っているように思える。
そんな来光くんがあそこまで嫌っていがみ合う事になる確執って一体何なんだろう……?
「来光、巫寿が二人の仲を心配してるよ」
「え? 何?」
「恵衣と来光が仲悪いの、どうしてって」
そんなド直球に聞いても良かったのかと思ったけれど、以外にも来光くんは冷静に答えた。
「ここじゃなくてもよくある話だよ。恵衣の家は生粋の血筋主義なんだよ」
「血筋主義?」
豆腐をごくんと飲み込んで聞き返す。
「社と御祭神を持ち伝統を重んじる家系が"絶対"で、僕みたいな突然力が覚醒したようなよく分からない出自は認めないってこと。ま、簡単に言えば変わり種が嫌いってことだよ」
「変わり種だなんて……! 来光くんはそんなんじゃ」
「ありがとう。でも本庁派は基本そうなんだよ。血筋が一番、大した力のない変異種は隅で大人しくしてろってね」