「30分に一本って、電車の数少なくない?」

「そうかな。不便だなとは思ったことないよ」

「電車が通ってるだけありがてぇだろ! 俺ん家なんて山奥だから、村のヤツら全員原付の免許持ってるんだぞ」


週末の土曜日、私の家の最寄り駅に集まったのはチーム出仕のメンバーのみんなだ。

今日は各々にエナメルバッグやリュックを背負っている。


「それにしてもすごい偶然。巫寿の家の近くのお社だったなんてね」

「ほんとだね。お社は駅を挟んで反対側なんだけど、歩けば三十分くらいで着くよ」


今日は慶賀くんが誘ってくれた夏祭りの日。

しかもその祭りが開催されるお社は、私が何度か神職さまたちにお世話になったあの「ゆいもりの社」だったのだ。


なので夏祭りの後はみんな私の家に一泊して、日曜日のお昼に各々の家へ帰ることになっている。


「巫寿の家ってどんな感じなの? 部屋って洋風!?」


興味津々に尋ねる慶賀くん。


「洋風……かはさておき、床はフローリングだよ。ソファーとかもあるし、和室ではないかな」

「ソファー! すげぇ! 俺、一度でいいからソファーに座ってみたかったんだよ!」


来光くん以外のみんなは実家がお社だから、部屋はきっと和室なんだろう。

どこにでもある2LDKのアパートなので、みんなの期待に応えられるかどうか不安になる。


あんまり期待しないでね、と肩を竦めた。