「────どんぐりころころ どんぶりこ〜 おいけにはまって さーたいへん! どじょうがでてきて こんにちは〜」


ノリノリで歌う泰紀くんに対して、文字のごとく転げ回って大爆笑するみんな。

申し訳ないけれど目の前で繰り広げられる光景が面白すぎて私も笑わずにはいられなかった。


「ぼっちゃんいっしょに 遊びましょ〜」


涙を拭いながら拍手すれば、どこか得意げに泰紀くんはお辞儀をした。


「どうよ俺の渾身のどんぐりころころ!」

「笑いすぎて腹筋吊りそう」

「動画撮ってるから後でグループに送るね」


数十分前から、私たちはこうして「童謡」を順番に歌っていた。

奏楽先生いわく歌詞が意味を持たない童謡は呪と言祝ぎの調整をするのにとても便利らしい。


森のくまさんやドレミの歌、鬼のパンツにぶんぶんぶんなど懐かしい童謡を歌っては大爆笑を繰り返していた。


「さっきより大分気持ちがこもってましたねぇ。まだ百ゼロですけど、気持ちが篭もるのは大事ですよ〜」

「はーい」


席に戻った泰紀くんに、奏楽先生は私たちを見回す。