私を挟まないで、と心の中で訴える。
「今の皆さんは、祝詞を奏上する際言祝ぎと呪の割合が百ゼロの状態です」
「何がダメなんだ? 祝詞って言祝ぎを高めて奏上するもんだろ?」
「奏上する祝詞によってはそれでも問題ありませんね〜。でも、風船に全力で息を吹き続けるとどうなりますか?」
「そんなの、こうパーンって」
「自分や周りの人がそうなったら嫌でしょう〜?」
リアルに想像出来たのか、泰紀くんは顔を青くして口を閉ざした。
「とういうわけで、言祝ぎと呪の割合を調節する手始めにカラオケをします〜。言祝ぎを九割、呪を一割込めてみましょう!」
「でも、呪を込めるのは危なくないんですか?」
そう尋ねた来光くんに、奏楽先生は「ふふふ」と意味深に笑った。