声について学ぶ授業、か。なんだか面白そう。


「今日はいちばん最初の授業なので、声学についての理解を深めるために言祝ぎを意識したカラオケ大会をしましょうか〜」


カラオケ?とみんなの声が揃う。

奏楽先生は笑顔で「はい」とひとつ頷くと、中学の修学旅行のレクリエーションでやった時に使ったようなカラオケの機材をどこからかひっぱり出してくる。

神修ってそんなものまであるんだ……。


マイクの頭をぽふぽふと叩いた奏楽先生。


「え〜、言祝ぎと呪の声の違いについて分かる人〜?」


はーい、とみんなが手を挙げて「では恵衣さん」と奏楽先生は手を差し出す。


「大まかな違いは、呪が硬く低い声、言祝ぎが伸びやかで高い声で発声することで違いが生じます」

「はい、その通り〜。素晴らしいです。しっかりお勉強してますね、感心感心」

「これくらい基本です」


恵衣くんは呆れた顔でそう言うと奏楽先生の褒め言葉も突っぱねる。

感じ悪、と来光くんが小さく呟いた声は恵衣くんにしっかり届いていたらしく冷ややかな目を向けた。