おでこを擦りながらお兄ちゃんを見上げる。


「俺も巫寿を守りたいから、強くなるよ」

「お兄ちゃん……でも、無茶しないで。怪我もしないで。もう二度と、あんな姿のお兄ちゃんは見たくない」

「ははっ……兄妹(きょうだい)揃って同じ事言ってるな」

「確かに」


顔を見合せてくすくすと笑う。何だかそうしたのが随分久しぶりな気がした。


「それはそうと、どこに向かってるの? 車にまで乗って……うちに帰るにしても明日が始業祭だから、直ぐに帰るよ?」

「分かってるよ。買い物に行くだけだから夕方には戻って来れると思うし────」



そして、私以上に嬉々として店内を物色するお兄ちゃんに一つ溜息を零す。

買い物、というのは私が神修で使う学用品や神具のことだったらしい。


必要なものは学校から与えられているし、卒業生が残してくれた神具もある。

別に困っていないと伝えたのだけれど「これは兄としての勤めだ」とか何とか。


何となく見た値札にぎょっとして必死に「いらない」としつこく伝えたが、しまいには怒られたのでもう何も言わないことにした。