「────それで、仕事の斡旋とか……昇階位試験って……?」

「そのまんまだよ。俺、今まで本庁からの仕事は一切引き受けないで自分で仕事取って来て細々とフリーランスでやってたんだけど、昇階位試験で級を取るには本庁からの仕事で実績残さないといけないから」

「でもお兄ちゃん、正階持ってるよね?」

「あれ、知ってたの? 確かに正階は持ってるけど、実績を積まないまま初等部で辞めちゃったからさ。これまでずっと実技を受験出来なくて級は持ってないんだよね」


なるほど、そういうことだったんだ。


冬にある昇階位試験では座学と実技の二項目で審査される。

階位を決めるために座学試験が行われ、級を決めるために学生は実技試験、現役神職は実績評価が行われる。



座学試験の受験資格は13歳からだし、実技は16歳からだ。

中等部に通わなかったお兄ちゃんは当時はまだ受験資格がなかったんだろう。


「でも、急にどうして……?」


そう尋ねた私に、お兄ちゃんは目を細めて私のおでこを弾く。


「妹が俺よりも強くなろうとしてるんだ。うかうかしてられないだろ」