「ほんとにいいって! まだ進路も決まってないし……」

「でも二学期の授業で使うんだろ? なら自分のは持ってた方がいいから」

「でも、安いものじゃないし」


いいからいいから、と私の肩を押し店の中へ入るお兄ちゃんはどこか楽しそうだった。





夏休み最後の日の日曜日。

地獄のような補習は昨日で終わり、薫先生のありがたい采配で私たちは夏休み最後の一日を自由に過ごせることになった。


と言っても明日は朝から始業祭があるし、家に帰ってものんびり出来ないということで私たちは学校に残っていた。

いつも通り朝起きて布団の中でごろごろしているとメッセージアプリに通知が届き、「チーム出仕かな?」と思って確認するとお兄ちゃんからだった。


ぼーっとしながらメッセージを確認して、その内容を理解した瞬間布団から飛び起きた。