自分を落ち着けようと深く息を吐いて、目尻の雫をごしごし拭うとお兄ちゃんに向き合った。
「私もお兄ちゃんと同じなの」
「え……?」
困惑した顔でお兄ちゃんは私を見下ろす。
「私も、大切な人を守りたい。もう二度と悲しい想いをしないために、強くなりたいの」
お兄ちゃんが私を守るために必死になってくれたように。
私もお兄ちゃんを守るために強くなりたい。
「だから、神修で学びたいの。お兄ちゃんを守るために、自分を守るために……お母さんたちが大切にしていたものを知るために」
お兄ちゃんは僅かに目を見開くと、何かを推し量るように私の瞳を覗き込んだ。
「────駄目だ」
「……っ、お兄ちゃん、」
「って言っても、もう兄ちゃんの言う事聞く気はないんだろ?」
お兄ちゃんは小さく笑って、私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「ほんと、年々母さんに似てきたけど、頑固さまで似てくるとは」
私の頭をぐしゃぐしゃにした後は、力いっぱいに抱き締められる。その肩は僅かに震えていた。