足の力が抜けてその場にヘナヘナと座り込んだ。

「巫寿!?」とお兄ちゃんが驚いた声を上げたので「大丈夫」とだけ伝える。


「遅せぇよ薫先生〜〜!」

「あはは、ごめん。でっかい方気張ってた」


快便快便、とお腹をさすりながら心做しかスッキリした顔で薫先生が歩み寄ってきた。


「やるじゃん、巫寿」


手を差し出されたのでその手を取って何とか立ち上がる。


「現役の神職でも怯む相手に、よく立ち向かったね」


そう言われて思い出したかのように膝がガクガクと震え出す。そこで堪えていた恐怖がぶわりと蘇り目尻が熱くなった。


「お兄ちゃんを……失う方が怖かったから」


そう言った私に、薫先生は目を細めて笑うとちらりとお兄ちゃんを見た。

そこでハッと気が付いた。