嘉正くんの背中からひょこっと顔を覗かせたのは、彼の弟の嘉明くんだ。
久しぶり、と手を振れば恥ずかしそうに振り返してくれる。
あっち行ってろ、と嘉正くんに言われてしょんぼりしながら離れて行った。
そんなやり取りに思わず笑みがこぼれた。
『ごめん嘉明が。巫寿も実家?』
「そうだよ。あっ、さっきまで禄輪さんとご飯食べてたんだ」
『禄輪禰宜と!? ずるい、僕も呼んで欲しかった!』
『巫寿ばっかずるいぞ! そういう時は俺らも呼べよ!』
『そうだぞ、苦楽を共にしたチーム出仕なんだから!』
わいわい騒ぐみんなに「ごめん」と肩を竦めた。
それから話は変わって各々の夏休みの過ごし方を話し始める。
来光くん以外はみんな神社の息子だから、結局は家の手伝いをさせられて学校にいる時とあまり変わりがないらしい。
私も地元の友達と遊んだ話をしたところで、嘉正くんが『そういえば』と話を切り出した。
『そういえば、なんでグループ通話始めたんだ? 慶賀が始めたんだろ、なんか用があったんじゃないの』
『うお、忘れてた!』
なるほど、このグループ通話は慶賀くんが始めたのか。
他のみんなもなぜ始まったのか分かっていなかったらしい。