泰紀くんがすかさず、横にあったスチール製のロッカーを扉の前に倒した。

ガシャンと激しい音がして身を縮める。


「待って、まずい!」

「え、何!?」


声を上げた嘉正くんに皆が目を見開いた。



「牛鬼は毒を吐くんだ、部屋の中へ入ったら危険だ!」

「言うのが遅せぇよ!」



倒したロッカーを持ちあげようとした次の瞬間、部屋が揺れるほどの衝撃が扉から伝わった。

咄嗟に背中でロッカーを抑えた泰紀くんは顔を顰めた。



「もう無理、扉の前に来てる! 慶賀抑えるの手伝え! お前らはなんか隙間埋めれそうな……タオルとかなんでもいいから!」


そう言われて慌てて机の中や戸棚をひっくり返す。

「嘉正、巫寿ちゃんこれ!」そう言って来光くんがカーテンを引っ張る。走りよって力任せに引き剥がし、ドアの隙間を埋めるようにそれを押し当てた。