お菓子を山分けしたあとローテーブルを事務所へ返して、また旧病棟へ戻ってくるとみんなでゾロゾロと中を巡回した。

来た時は薄気味悪かった廊下も、儀式が済めば学校の廊下と変わらない。


私がいなかった間の授業の話を聞きながら一階、二階と順調に見て周る。


「巫寿、今日は一緒に帰れねぇの?」

「まだお兄ちゃんと話せてないから……明日の朝ちゃんと話してから神修に帰るね」


そっかそっか、と皆は目を細める。


「そういや薫先生がなんか含みのある言い方してたけど、何だったんだろうな」

「確かに。いい考えがあるって」

「どうせろくでもないこと考えてるんだよ」


笑いながらそんな話をしていたの次の瞬間、全員がほぼ同時にピタリと動きを止めた。

鮮烈な気配は、まるでナイフを突きつけるかのように私たちの動きを封じた。


背筋をつうと汗が一雫流れて、固い唾を飲み込む。目だけでみんなの様子を見れば、同じようにして顔を強ばらせていた。


まずい、ダメだ、動け。

動け、動け、動け!



「……ッ、逃げろ!」



嘉正くんの怒鳴り声で、皆は弾けるように走り出した。