わらわらと病院内へ戻っていくスタッフを横目に、薫先生は「よっこらしょ」と井戸の縁に腰掛ける。

神様が居なくなった場所だとしても不謹慎ではないかと思うのは絶対私だけじゃないはずだ。


「薫先生じじくさーい」

「そりゃ疲れるでしょ。普段はあんな真面目な仕事絶対に引き受けないしね〜。センセイは修祓(しゅばつ)専門なの。ほらチャカチャカ片付けて」


はーい、と皆は渋々と片付けに取り掛かる。

チンするご飯でおにぎりを作ろうと盛り上がる慶賀くん達に思わずくすくすと笑った。



「皆、俺着替えてくるから。片付けが終わったらもう一回病院の中見て回ってから、正門のとこ集合ね」

「えー、もう儀式済んだんだから見て回らなくてもいいだろ〜」

「文句言わない。そのお菓子自腹にさせるよ?」


卑怯だ!と抗議の声を適当に聞き流した薫先生は手をヒラヒラさせながら新しい方の病棟へ消えていった。