それにしても────。
「薫先生が普通の大人みたいに喋ってる……」
「あははっ、シンプルに失礼なんだけど〜」
いつものように飄々とした薫先生に戻る。
「薫先生もよそ行きの顔とか出来たんですね」
「ねぇホントに君達失礼だね〜? センセイだって君らよりかは10年は長く生きてんだから、社会に適合する術くらい身に付けてるよ」
「今の感じからだと、まともな大人の姿の薫先生を想像できなくて」
「あははっ、そろそろ課題増やすよ〜?」
げ、と顔を顰めた皆は分かりやすく「薫先生格好いい」「ステキ!ザ・オトナ!」「歩くアダルト!」なんて言って囃し立てる。
それで気分が良くなったのか、薫先生は満足気にうんうんと頷いた。
歩くアダルトでも良いんだ……。