わいわいとそんな話をしながら必要なものを揃え、病院に戻る途中で事務員さんから折りたたみのテーブルと紙皿を数枚貰った。
帰ってくるとまねきの社の白い社紋が入った紫色の差袴に深緑色の狩衣姿の薫先生がスマホゲームをしながら待っていた。
「お、やっと帰ってきた! ちょっと君達、何その荷物の量ウケるんだけど、あははっ」
「お菓子でもお供えすれば神饌扱いになるだろ!」
「あははっ、無駄な所で頭良いねぇ!」
よっこらしょ、と立ち上がった薫先生。
「薫先生がちゃんとした装束なの久しぶりに見た気がする」
「失礼だなぁ。間違いでは無いけど」
薫先生はコンビニでチンしてもらったパックのお米をみてヒィヒィ言いながら笑う。
先生がそれでもいいって言ったのに。
井戸の前に簡易テーブルを広げてテキパキと神饌を広げていく。
山盛りのお菓子にチンするご飯、料理酒。
ほんとにこれでいいのかと聞きたくなるけど、「こういうのは気持ちなんだよ」の言葉を思い出して無理やり納得させる。