話した後、ふたりで巡回した一階の様子を思い出す。
「1階はかなり浮遊霊の数が少なくて、玄関口付近に片手で数えれる程度だった。調べてみたら、病院の外の裏口横に祠があったんだ」
「えっと……それで試しに神社拝詞を唱えてみたんですけど、神様はいらっしゃらないみたいで……だからさっきの事務員さんに聞いてみたら、建て替えの時に新しい病棟の屋上に祠を移したみたいです。見に行ったら、ちゃんと祠もあって御祭神さまもいらっしゃいました」
「だから、祠を壊そうとしたことに対する御祭神さまの祟りでもなさそうだ。浮遊霊が玄関にいたのも、元の祠がまだ御祭神さまの神徳が残ってて神聖な場所だったから避けていたっぽい」
おおー、と皆が感心したように声を上げる。
「素晴らしいよ二人とも。前回の失敗をしっかり活かして、経験に基づいた考察も出来てるね」
「同じ失敗は、したくないからな」
「うん」
「いい心掛けだね。もうセンセイ、みんなの成長に感動しちゃったよ」