なんだか釈然としないけれど、確かに優先すべきなのは任された依頼だ。
今の間は少し忘れて集中しようと気持ちを切替える。
「じゃあ3階組、俺と来光からね。来光、気がついた点は?」
来光くんは懐からメモ帳を取りだしてメガネを押し上げた。
「はい。3階まで上がるついでに各階をざっと見て回ったけど妖による残穢はなかった……よって妖の線は無しだと思います」
「良いね良いね。じゃあ次、2階組」
慶賀くんと嘉正くんがひとつ頷く。
「2階は病床と手術室、処置室、安置室がありました。3階は見てないけど、1階に比べたら幽霊の数が多いような気もしました。でもほとんどが浮遊霊で、地縛霊も数体居たけど弱いもの」
「試しに鎮魂の祝詞を奏上してみたらすんなり還っていったから、ここらにいるのは悪さをするような幽霊ではないっぽい!」
「ほうほう。鎮魂を試して見たんだね、いい心掛けだよ」
イェイ!とピースサインをした慶賀くん。
「じゃあ最後に1階組。君らは何に気が付いたかな?」
私と泰紀くんは顔を見合せた。