3チームに別れた私達は、各々に旧病院内を探索することになった。
私は泰紀くんとペアだ。
電気の通っていない病院内は、工事が始まっているせいで外壁はビニールシートで囲まれているから月明かりすら差し込まない。
頼りになるのは泰紀くんがもつ懐中電灯だけで、肝試しみたいで少し怖い。
「見ろよ巫寿」そう言って振り向けば、泰紀くんは顎の下からライトを当てて「バァ」と変な顔をする。
「もう」と肩を竦めてクスクス笑う。泰紀くんのその明るさのおかげで暗い廊下の怖さも幾分か和らいだ。
カツカツと2人分の足音が響く。
「あのさ、巫寿」
「うん……?」
「ほんとに、大丈夫か?」
「え?」
唐突に真剣な顔をして尋ねてきた泰紀くん。
「勘違いかも知れねぇけど、会った時からなんかずっと暗い顔してる気がしたからよ。何かあったのかなぁって思って」
泰紀くんは少し気まずそうに人差し指で頬をかいた。
「兄ちゃん、本当はあんまり良くないのか?」
歩みを止めた泰紀くんは私と向き合うと、眉をひそめてそう尋ねた。