もっとおどろおどろしいものを想像していたので何だか肩の力が抜ける。
よく観察してみればそのモヤはゆらゆら揺れていて、顔は無いけれどじっとこちらを伺っているように見えた。
「幽霊は中等部で習う基礎知識だから、その種類もちゃんと覚えておくようにね。じゃあ慶賀、おさらいがてら幽霊の八種類、危険度順に下から言ってみな」
「うぇ〜、詞表現実習とは関係ないじゃん」
「あはは、文句言わない」
えーと、と頭を抱えた慶賀くんは指をおりながら上げていく。
「まず、守護霊だろ。その次が浮遊霊で地縛霊……次が憑依霊? あれ、動物霊だっけ?」
「はい、ブッブー。アウト。明日までに憑依例と動物霊の違いについてレポート三枚ね」
「えええっ! そんなぁ!」
がっくりと項垂れる慶賀くんに、可哀想だけどくすくすと笑う。
「じゃあ代わりに……」と首をめぐらせた瞬間、泰紀くんが全力でそっぽを向いていっそうおかしかった。
「君たちねぇ……特に三馬鹿。学年末の昇階位試験は中等部の範囲からも出題されるんだよ? 来年も一年生とかセンセイ笑えないんですけど」
「僕も一緒にしないでもらえます!?」