「何やってんだよ巫寿!」

「置いてくぞ〜」

「この後用事あるの?」

「巫寿も一緒に行こうよ」


振り返った皆が私を手招く。

みんなからの心配するメッセージも返せていない。ノートやプリントのお礼も言えていない。

それなのに皆は変わらず私に接してくれる。その優しさが嬉しいはずなのに今は少し苦しい。


「巫寿、どうしたい?」


薫先生が振り向いた。

その問いかけが電話をしたあの日と重なって聞こえる。



私は、私は────。



「い、く、ぞ!」

「えっ……!」


私の手首を掴んだのは慶賀くんだった。ほれほれ〜、と泰紀くんが私の肩を押す。

少し先で待っていた嘉正くんと来光くんが笑顔で手を招く。



ああ、どうしよう。


「うお!? ごめん、強く引っ張りすぎたか俺!?」


違うの、と言いたいのに上手く声が出ない。代わりに大粒の涙がいくつもポロポロと零れていく。



この場所を諦めたくない。

皆と一緒に学びたい。


楽しいことも苦しいこともみんながいたから乗り越えられた。

私はこの場所も、みんなも、大好きだ。