次の日の朝、制服には着替えたけれど神修行きの車には乗れなかった。グズグズしているうちに時間が過ぎて、家を出ても間に合わない時間になっていたからだ。

少しその事にほっとしている自分もいて、来たばかりの制服は脱いでハンガーに掛けた。

ふう、と息を吐きながらベッドに寝転ぶ。


もうすぐ一時間目が始まる時間で、どうしてかソワソワして気持ちが落ち着かない。


そんな時トークアプリがメッセージを受信した音がして開けると宛先はお兄ちゃんからだった。


『もし今日来てくれるなら、適当に小説持ってきて欲しいな。』


お兄ちゃんらしくない端的で短いメッセージだ。

分かった、と返事を入れると弾みをつけて立ち上がった。




新しい着替えに小説を数冊いれたトートバッグを肩にかけて部屋を出る。

外階段を降りる足音に気がついたのか、玉じいが部屋から顔を出した。


「玉じい」

「おはよう。昨日は学校に帰らなかったのか」


うん、とひとつ頷くと玉じいは手を伸ばして私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。