お兄ちゃんと禄輪さん何を話すんだろう。
胸の中を不安が占める。きゅっと胸の前で手を握りしめた。
時折お兄ちゃんの怒鳴り声が扉越しに聞こえて、ハラハラしながらひたすら扉の前で待った。
十分、三十分、一時間……と時間が過ぎていき、面会時間が終わる数分前になって、やっと病室の扉が開く。
ハッと顔をあげれば「ずっとここにいたのか?」と禄輪さんが困ったように笑った。
「怒鳴り声が聞こえて……お兄ちゃんと何を話したんですか?」
「……大人同士の話し合いは済んだから、後は巫寿が祝寿と話し合いなさい。それでもどうしようもなかったら、また連絡してくれ」
「禄輪さん……」
「ん、巫寿は心配しなくていい。すまないな、私のせいで面倒をかけて」
ふるふると首を振れば、禄輪さんは励ますように私の肩を叩いた。