私たちと話す時は早いのに、どうして恵理ちゃんには連絡を返さないんだろう?


「し、仕方ねーだろ!」

「何がだよ」


泰紀くんは肩をふるふると震えさせて噛み付くように答えた。


「俺のことが好きだって言ってきた女の子だぞ! 何話したらいいのかわっかんねぇし、そもそも緊張しちまうじゃねぇか!!」


数秒の沈黙、そして皆は弾けるように笑い転げた。申し訳ないけれど私もくすくすと笑ってしまう。


「し、死ぬっ……まさか泰紀に女の子と話す時に緊張するほどの繊細さが……」

「俺だって繊細だ!!」


その言葉にまた皆がぶっと吹き出す。

泰紀くんは可哀想な程にぷるぷる震えて耳から首まで真っ赤っかだ。


後で恵理ちゃんに連絡しよう。

あまりの連絡の無さに「脈ナシなのかなぁ」と不安がっていたから「心配無用だよ」って言ってあげよう。