授業が終わって体操服から制服へ着替えるとホームルーム教室へ戻ってきた。

他のみんなは既に帰ってきていて、談笑しているところだった。


「あ、巫寿ちゃんおかえり〜」

「めちゃくちゃいいタイミング!」


首を傾げながら机の横に手提げを引っ掛ける。


「いいタイミングって何の話……?」

「泰紀と恵理ちゃんだよ! こいつ何も喋んねーの!」

「巫寿ちゃんは恵理ちゃんからなんか聞いてないの!?」


身を乗り出す二人の頭を顔を真っ赤にした泰紀くんが後ろから押さえ付ける。


「やめろ馬鹿! プライバシーの侵害だろッ!」

「お前にプライバシー保護が必要なほどの繊細さなんてねぇーだろ!」

「何だとこいつッ!」


いつも通り取っ組み合いが始まって、私たちは笑いながらそれを眺めた。

すすす、と静かに私に歩み寄った嘉正くんが「実際のところどうなの?」と私に耳打ちをする。

思わず「嘉正くんまで?」と小さく吹き出した。