「富宇先生も空亡の残穢を回収しに行ったり修祓に行ったりするんですか?」
「まさか! 戦線にでるのは若くて高位の神職よ。先生はもうおばあちゃんだし、そもそも巫女職はご祈祷や舞奉納のお仕事がメインになるの」
そんな違いがあるんだ。
そういえば、薫先生が一年生の終わりに進路相談があるって言ってたっけ。
まだ神主と巫女のどちらを選ぶか考えることすらしていない。
二学期が始まれば専門分野の選択科目も増えるだろうし、そろそろ進路についてもちゃんと考えないといけないな。
「さ、休憩はこの辺にして。さっき止めたところから再開しましょう」
「はーい」
膝の上に乗せていた神楽鈴を持ち立ち上がる。
その時、カランと音を立てて神楽鈴の小さな鈴がひとつ転がり落ちた。
「わっ、すみません」
慌てて床を転がる鈴を拾い上げる。
本体と繋げる金具の部分が駄目になっていた。