「────はい、一旦そこまで!」
ぱん、と手を打った音で動きを止める。
「大きな舞台に立ったからか、体の使い方も良くなったわねぇ」
納得したように何度も頷く富宇先生に少しはにかんで肩を竦めた。
夏期補習が始まって数日がたった。
薫先生が組んだ補習の時間割は、休んだ二ヶ月分を一気に取り戻すためだけあって朝から晩まで色んな科目がみっちり詰まっている。
今は巫女舞の授業で、男の子たちは雅楽のクラスだ。
ふう、と手ぬぐいで額の汗を拭う。
確かに神話舞の練習を経て、少し体の使い方が分かってきた気がした。ぎこちなかった腕の動きもかなり滑らかになったと思う。
五分休憩しましょう、と言われて壁のそばに寄せていた水筒を一気に煽った。
「それにしてもせっかくの夏休みなのに毎日大変ねぇ」
「あはは……自業自得なので。富宇先生は夏休みじゃないんですか?」
「残念ながら先生たちは本庁所属だから、学校業はお休みでも出社しなくちゃいけないの」
大変なんだなぁ、と息を吐く。