「帰ってくんのが早えーよぉ……」
「俺帰ってくんの嫌すぎて3日前から蕁麻疹出た」
「僕も」
ガランガランと本坪鈴を鳴らしながら嘆いたのは慶賀くんだった。
この数日で遊び尽くしたんだろうなと推測ができるほどに真っ黒になった顔をへにゃりとさせて項垂れる。
見ろよこれ、と袖をたくしあげて赤い発疹の出た腕を見せつけ合う泰紀くんと来光くんにプッと吹き出す。
「確かにあっという間だったね」
帰ってきた、という表現の方がしっくりくるまねきの社の拝殿を見上げてそう笑った。
二週間の夏期補習がある私たちは数日間の夏休みを過ごし、またこうして神修に帰ってきた。
「まあ仕方ないよ。二週間でも夏休みを確保してくれた薫先生に感謝しないとね」
「あははっ、そうだよ問題児ども〜」
明るい笑い声が聞こえてぱっと振り返ると、紋入りの紫袴に着崩した白衣姿の男の人が立っていた。
「薫先生!」
「やあやあ。短い夏休みはなかなか愉快に過ごしたらしいじゃん?」
げ、と声を揃えた私たちに薫先生はケラケラと笑う。
何もかもが筒抜けだったらしい。