小走りで戻ってきた泰紀くんは「どうした?」と首を傾げる。 恵理ちゃんはばっと顔を上げた。 「……好きになっちゃいましたッ! 付き合ってください!!」 しん、と当たりが静まり返る。 改札口の前で待っていたみんなが目と口をカッと開いて固まっているのが見えた。 多分私も同じ顔だ。 「えぇええ!?」 人気の少ない駅のホームに泰紀くんの声が響いた。