泰紀くんが頭の後ろで手を組んで笑う。


「大丈夫だろ。恵理ちゃんってばーちゃんより言祝ぎが強いし」

「えっ、それって私にも皆みたいな素質があるって事?」

「んー、それとは少し違うけど、頑張り次第でばーちゃんみたな巫女にはなれると思うぜ」


恵理ちゃんは自分の両手の掌を不思議そうな顔で見つめた。

電車が車での短い間で、私たちはこれまであった出来事を振り返りながら色んな話をした。


巻き込んでしまった恵理ちゃんには申し訳なさがあったけれど、「不思議な経験が出来た」と喜んでいる姿をみて少しだけ安心した。


もうすぐ電車が到着するというアナウンスが聞こえて、嘉正くん達は「そろそろ行こうか」と鞄を肩にかけ直した。


「もうあと数日しかないけど、夏休み楽しんでね巫寿。恵理ちゃんも、また会おう」

「うん、みんなも楽しんで。また学校でね」


改札へ歩き出すみんなに手を振る。

その時、


「あのっ!」


突然大きな声を出した恵理ちゃんに目を瞬かせる。

みんなも不思議そうに振り返った。


「ちょっといいかな……! 泰紀くん!」

「え、俺?」


驚いたように自分を指さして首を傾げた泰紀くんに、恵理ちゃんは顔を真っ赤にして頷いた。