玄関にあった六文字のひらがなは、「ち・と・は・お・ん・や」。
配達員さんが段ボールから取りだしたひらがなは、「あ」。
特にピンとくる発見があったわけではなかった私たちは、昨日と同じように「うーん」と腕を組んで悩む。
「六文字を並べ替えるって、すごい数のパターンが出来ますよね……。ちんぷんかんぷんです」
「今日のひらがなも、繋げるとよく分からないですしね」
「“たすけてあ”、ですもんね」
解決の糸口になると一抹の希望を抱いたのに、逆に振り出しに戻ってしまったような……。今の私たちは、正にそんな感じだった。
「”たすけてあ”。この”あ”って、なんでしょうか」
「”あたし”ですかね?でも、おばあちゃんは自分の事を、そう呼ばないし……」
「うーん。これは、明日の荷物を待つしかないですね」
ふう、と配達員さんが息を吐く。だけど、私が並べた六文字のひらがなを見て「あ」と、声を上げた。
「なんだ、こっちは簡単じゃないですか」
「え、分かったんですか!?」
「はい」
配達員さんは「動かしますね」と言って、ひらがなを触る。六文字それぞれ動かして、ある文字を作った。
それは――
「”おとはちゃん”。あなたの名前じゃないですか」
「え、あ……本当!」
自分の名前なのに、少しも気づかなかった。もう自分の名前以外は、考えられない。おばあちゃん、私の名前のひらがなを買っていてくれたんだ。
だけど……、ちょっと待って。
「あの……配達員さん」
「はい、なんでしょう」
六文字の謎が解けたことが嬉しいのか、配達員さんは口角を上げていた。反対に、私は真面目な顔で、配達員さんに聞いてみる。
「どうして、私の名前が”音羽”だって知ってるんですか?」
「――!」
目を開いた配達員さんのリアクションを、どう受け取ればいいのか――ここに来て新たな謎が生まれ、困惑する私。
そんな中。配達員さんは、ゆっくりと口を開く。
「実は、俺――」
新たな問題。
それが吉と出るか、凶と出るか。
手の汗を握りながら、私は配達員さんの答えを待った。
配達員さんが段ボールから取りだしたひらがなは、「あ」。
特にピンとくる発見があったわけではなかった私たちは、昨日と同じように「うーん」と腕を組んで悩む。
「六文字を並べ替えるって、すごい数のパターンが出来ますよね……。ちんぷんかんぷんです」
「今日のひらがなも、繋げるとよく分からないですしね」
「“たすけてあ”、ですもんね」
解決の糸口になると一抹の希望を抱いたのに、逆に振り出しに戻ってしまったような……。今の私たちは、正にそんな感じだった。
「”たすけてあ”。この”あ”って、なんでしょうか」
「”あたし”ですかね?でも、おばあちゃんは自分の事を、そう呼ばないし……」
「うーん。これは、明日の荷物を待つしかないですね」
ふう、と配達員さんが息を吐く。だけど、私が並べた六文字のひらがなを見て「あ」と、声を上げた。
「なんだ、こっちは簡単じゃないですか」
「え、分かったんですか!?」
「はい」
配達員さんは「動かしますね」と言って、ひらがなを触る。六文字それぞれ動かして、ある文字を作った。
それは――
「”おとはちゃん”。あなたの名前じゃないですか」
「え、あ……本当!」
自分の名前なのに、少しも気づかなかった。もう自分の名前以外は、考えられない。おばあちゃん、私の名前のひらがなを買っていてくれたんだ。
だけど……、ちょっと待って。
「あの……配達員さん」
「はい、なんでしょう」
六文字の謎が解けたことが嬉しいのか、配達員さんは口角を上げていた。反対に、私は真面目な顔で、配達員さんに聞いてみる。
「どうして、私の名前が”音羽”だって知ってるんですか?」
「――!」
目を開いた配達員さんのリアクションを、どう受け取ればいいのか――ここに来て新たな謎が生まれ、困惑する私。
そんな中。配達員さんは、ゆっくりと口を開く。
「実は、俺――」
新たな問題。
それが吉と出るか、凶と出るか。
手の汗を握りながら、私は配達員さんの答えを待った。