「た、す、け、て……か」
ひらがなブロックを前にして、私はおばあちゃん家で五日目の片づけを行っていた。
昨日は、配達員さんと一緒に段ボールを開けた。そこにあったのは、想像通り「て」の文字だった。
「やっぱり」と悲観する私。だけど配達員さんは、納得いかない顔をしていた。その理由は、こうである。
『俺は、トミ子さんが助けを求めてブロックを買ったとは思えません』
『どうして、そう思うんですか?』
『たまにトミ子さんと話をしましたが、何かに困っている様子が無かったので』
『じゃあ”助けて”は、何の事だろう?』
『うーん……』
結局、答えは出なかった。
だけど、一つだけ希望が持てた。配達員さんが「おばあちゃんが何かに困っている様子はなかった」と言ってくれたからだ。
その言葉を、私は信じたい。
「さて。今日のひらがな、何かなぁ」
荷物の配達は、一週間、続くらしい。
ということは、ひらがなは全部で七文字になるということ。
「いま揃っているのは“たすけて”の四文字。ということは、あと三文字か」
「助けて」の後に続く、三文字のひらがな。その内の一つが、今日届く。
「にしても、助けての後に続く言葉って難しいなぁ。あ!たすけて”ほしい”とか?ぴったり七文字だし」
だけど、配達員さんの言葉で「おばあちゃんは困ってない」と知ったばかり。助けて欲しい、は違うはず。
「うーん、さっぱり分からない……」
小首を傾げた、その時。
ポケットにあるスマホが、音を立てて通知を知らせた。画面を見ると、昨日インストールしたSNSのアイコン。その右上に「①」の表示がある。
私はすぐアイコンをタップし、中身を確認した。
【そろそろ、そちらに行けます】
その文字を見て「わかりました」と返事を打とうとするも、返事の仕方が分からず手間取ってしまう。
「おかしいなぁ。昨日は“簡単だー”って思ったのになあ」
実は昨日――SNS初心者の私に、忙しいだろうに配達員さんが、時間を割いてSNSの使い方を教えてくれたのだ。
SNSと聞いて身構えたけど、難しい事は特になかった。メッセという機能を使ってチャット形式で話しをするという、すごく簡単なものだった。
SNSに新規登録してもらったし、配達員さんのアカウントもフォロー出来た。
ちなみに、私のアカウント名は「おと」。名前の音羽を省略したものだ。
そして、配達員さんのアカウント名は――「待ち人」だった。
ひらがなブロックを前にして、私はおばあちゃん家で五日目の片づけを行っていた。
昨日は、配達員さんと一緒に段ボールを開けた。そこにあったのは、想像通り「て」の文字だった。
「やっぱり」と悲観する私。だけど配達員さんは、納得いかない顔をしていた。その理由は、こうである。
『俺は、トミ子さんが助けを求めてブロックを買ったとは思えません』
『どうして、そう思うんですか?』
『たまにトミ子さんと話をしましたが、何かに困っている様子が無かったので』
『じゃあ”助けて”は、何の事だろう?』
『うーん……』
結局、答えは出なかった。
だけど、一つだけ希望が持てた。配達員さんが「おばあちゃんが何かに困っている様子はなかった」と言ってくれたからだ。
その言葉を、私は信じたい。
「さて。今日のひらがな、何かなぁ」
荷物の配達は、一週間、続くらしい。
ということは、ひらがなは全部で七文字になるということ。
「いま揃っているのは“たすけて”の四文字。ということは、あと三文字か」
「助けて」の後に続く、三文字のひらがな。その内の一つが、今日届く。
「にしても、助けての後に続く言葉って難しいなぁ。あ!たすけて”ほしい”とか?ぴったり七文字だし」
だけど、配達員さんの言葉で「おばあちゃんは困ってない」と知ったばかり。助けて欲しい、は違うはず。
「うーん、さっぱり分からない……」
小首を傾げた、その時。
ポケットにあるスマホが、音を立てて通知を知らせた。画面を見ると、昨日インストールしたSNSのアイコン。その右上に「①」の表示がある。
私はすぐアイコンをタップし、中身を確認した。
【そろそろ、そちらに行けます】
その文字を見て「わかりました」と返事を打とうとするも、返事の仕方が分からず手間取ってしまう。
「おかしいなぁ。昨日は“簡単だー”って思ったのになあ」
実は昨日――SNS初心者の私に、忙しいだろうに配達員さんが、時間を割いてSNSの使い方を教えてくれたのだ。
SNSと聞いて身構えたけど、難しい事は特になかった。メッセという機能を使ってチャット形式で話しをするという、すごく簡単なものだった。
SNSに新規登録してもらったし、配達員さんのアカウントもフォロー出来た。
ちなみに、私のアカウント名は「おと」。名前の音羽を省略したものだ。
そして、配達員さんのアカウント名は――「待ち人」だった。