僕とバハムートのパプルが、絶対に傷1つつかないとされるオリハルコンを豪快に破壊にしてしまった!

申し訳なくなったから《クリエイティブモード》でオリハルコンを出して渡したら物凄く驚かれた。

うん、そりゃそうだよね!

的に変えるには学院にいる凄腕の錬金術師の力が必要みたいだけど、タイミング悪く外出中で居ないみたいだ。

せっかく出したオリハルコン、早く有効活用してこの待ち時間を無くしたい。
《錬成》を使おうとしたら一緒に【錬金術師】まで習得してしまった!

さて、早速《錬成》してみよう。
初めてだから上手く出来るか不安だ。

失敗したらどうしようと不安になったが、その時は新しくオリハルコンを出せばいいだけだ。

「レリカ先生、少しオリハルコン貸してくれませんか? 」

「う、うむ! 貸そう……元々ユリアの物だし貸すという言葉は間違ってるね、返すの方が正しいかな」

いつの間にか身につけていた手袋で丁重に渡された。

どこから引っ張んてきたんだ? さっきまでつけてなかったような。


手渡されたオリハルコンを見つめ、呟いた。

「《錬成》」

唯一僕たちの魔の手から逃げ残り、生き残っている的に近づいて、細かな形等を確認する。

そこからこの的を脳内で完璧にイメージして、魔力をオリハルコンに流し込んでいく。

ぐにゃりと形を変えていき、瓜二つの的が完成した。

我ながら完璧な出来だ。初めてとはとても思えない。

「すごい、凄すぎるよ! 」

「《錬成》か。もう驚かない…驚かない……やっぱ無理ぃ! 凄すぎるんだけど!! 」

「ふむ、そのくらい当然じゃろて。ダーリンが凄いのは前からわかっていた事じゃ」

「一日に何回この言葉を言えばいいのでしょうか、流石です。いや、流石すぎますユリア様! 」

次々と褒めてくれる。
それは嬉しいがパプルの言葉に首を横に振る。

「凄いのはスキルであって、僕自身は何も凄くないよ。こんなスキルだったら赤子でも最強だ」

たまたま授けられただけであって、何も僕の力じゃあない。

「それは違うのじゃ。このスキルはダーリンだから授けられたのじゃよ」

「僕だから授けられた……? 」

「この世界で同じスキルを持っている人は沢山いるじゃろ? 《剣士》じゃったり《魔術師》、《回復術師》そこら中に居る。それから《勇者》なんてのも昔も居たし今も居るはずじゃ。その時代には1人しか現れないようにはなってるがそれでも複数人に与えられている。しかしじゃ! 」

びしっ!、と指をさして続けてくる。

「そのスキルはこれまでで一切与えられたことのない唯一無二のスキルじゃ。そのような前代未聞のスキルを適当にやすやすと神が授けるかの? 」

「どうだろう? 適当にルーレットとかで決めたんじゃないのかなあ」

「んな訳ないじゃろ! もしそれでダーリンの無能兄に授けられたりしたら世界の終わりじゃろ! 」

それもそうか。
もしあの兄たちがこんなスキル授かったら暴虐の限りを尽くすだろうね。
魔族の中から魔王は現れるらしいが、世界史の中で初めて人間から魔王が生まれかねない。

「そうだよ! 弟子くんだから授けられたんだよ。神様は頑張りを見てたから選んだんだと思うよ」

いやそうだろうか? 僕以外にも頑張ってる人は沢山いると思うけど。

こればっかりは考えていても解決しないので深く考えるのはやめておく。

「神技を見せられたような気がするがいつまでもこうしてる訳にはいかないからね、今すぐにでも追求したい気持ちをぐっと堪えて今は試験に集中するよ! はい、再開! 」

こうして試験は再開された。





最後の受験生が大きなかけ声とともに魔法を放ち、どかんと真ん中から少しずれた位置に着弾。

おおおお、と歓声が上がった。

見てきた中では一番の精度だった。あ、パプル達は除いて。

魔法が当たった後のほんのり焦げ目の印が付いた的を見る。

実はあれ僕お手製の的2代目だ。

え? 1代目はどうしたのかって?

的から師匠であるサツキに目を移す。
そう、壊してしまったのだ。

「前世最強の賢者であるこのあたしが学院の試験ーーー言わばただの的当てごっこに本気など出してしまえば、弟子くんやパプルのようになってしまうだろう。だから本気は出さない」

極小量の魔力だけにする。だなんて言っていたのに……

口から出た初級魔法の名とは似てもつかない威力の魔法が豪速球で的を打ち砕き、後方にあった学院の壁すらをも突き抜け何処かへと飛んで行ったのだ。

青白い顔をしたサツキが頼んできたので2代目的当て君を錬成したのだ。

因みに壁は自分で治していた。師匠、壁すらをも欠け1つ残さずに新品同様に治すだなんてやっぱりすごい!

「「「お前が言うな!! 」」」

何故か受験生全員とレリカ先生に突っ込まれた。

なんで?

僕はスキルのおかげだが、師匠は違う。
全部実力なんだもん。