ーー人口減少社会。
 地方からは人が消え、栄えた街は荒廃し、いずれ人の寄りつかない廃市となる。
 朽ちた家屋、蔦に覆われた神社、ひび割れた窓ガラスの散った学舎。
 けれどそこには確かに、人々の生きた時代があった。忘れるには惜しい忘れえぬ営みがあった。
 帰れない遠い故郷。懐かしい理想郷。
 スウェーデン語のヒラエスの言葉に託された思いは日本でも。


 誰もが疲れたとき、ふっと帰りたい場所。涙を流せる場所。遠い記憶の中だけに、眠ったーーどこか。