「新月さん……新月さんは、どうやって和らげたんですか?」

 うつむいた私の質問に、新月さんは間髪入れることなく、質問を予想していたというよりはおそらく本能的に、反射的に、

「家族です」

 と答えた。
 それから顔を上げた私に、おかしいくらい真剣な表情をほわぁと緩めて、

「大事な、大切な、この世にたった一人の家族です」

 今まで見てきた中で、一番可愛い笑顔で付け加える。
 そして、

「まだお時間ありますか?」

 と私に訊ねた。頷くと、新月さんは少々お待ちくださいと席を立つ。

「……まあ、少々というか、結構経つかもしれませんが」