紺が顔を真っ赤にしてモジモジとしている私をみながら、ふっと笑った。

「ところでその前に……琴さん、お腹空いてらっしゃいませんか?」

「え?えっと……空いてます、けど……」

きょとんとした私を満足げに眺めながら紺が形の良い唇をきゅっと引き上げた。

「ぜひ、今宵も手料理を振舞わせてください。今日はトマトをふんだんに使ったパスタとデザートにトマトのムースをつかったプリンなんていかがですか?」

「わぁ……おいしそう」

「ふふ……赤い食べ物は恋愛運をアップさせるんです。琴さんと僕の恋結びにぴったりの料理だと思いませんか?」

そういうと紺はトマトのように真っ赤に熟れた私をやさしく見つめながら、そっと私の手を引いた。

「あとこうやって掌と掌を合わせるとより強いご縁になるんです、それこそもう二度と離れられなくなったり……コンなふうにね」

繋がれたその掌は大きくて暖かくてほっとする。私は紺につながれた掌の温もりと恋の始まりを確かめるように、紺の掌を強くぎゅっと握り返した。