2人で話がしたいと言われた。

 夜空には聞かれたくないから、と話は俺の部屋ですることになった。

「なぁ?!聞いてたんだろ?俺今からレッスンって⋯!」
「夜空はあぁ言ったけど、私は絶対行かせたくないの。壊れて欲しくないから。」
「壊れる⋯?」

 真昼は言った、「私の知り合いには何度も壊れて脆くなった人がいる。」と

 何も言えなかった。

「その人はさ、いつも期待に答えようとして自分を追い詰めてるのよ。全部自分で解決させようとする。」

 真昼はよく周りを見ている。

 その人の隣にはいつもいたから、もっとよく知っている。

「ある時は誰にも言わずに男性と戦ってた。ある時は悪口に耐えて吐きながらも悪癖に立ち向かってた。でも、それはその人の身を心をも滅ぼした。」

 自然と涙が出てきた。

「最近やっと安定してきたのに、あなたに壊れられちゃ困るの。私は別にいいんだけどさ。」
「真昼・・・お前俺こと嫌いだろ?」
「今更?私はずっと、朝日が大っ嫌い!」

 赤くなるほど、手に力が入っている。

「そうか。ま、別にいいけどよ。」
「えっ・・・怒んないの・・・?」
「は?なんで怒んだよ。誰にでも嫌いな奴いるし、ましてや中1ん時に会っていきなり一緒に住む奴好きになる方がすげぇわ。」
「お姉ちゃんじゃん・・・朝日もか。」
「気合わねえ奴とだったら嫌いになるだろ。」

 んじゃ、と俺は部屋を出て救急箱を取り出した。

 今日は言う通り休もう。

 傷口に軟膏を塗り、絆創膏を貼った。

「朝日。これ、見て欲しい。それと、私が言いたかったのは、朝日が壊れると彼女も壊れるから、嫌だって言う話。」
「そうか。・・・?なんだこれ。」
「こっそり撮ってた、その人の映像集。朝日、これだけは守って欲しいの。『夜空を守って』。」
「・・・!おぅよ。」