そんな日はまあ早い。

 あっという間に高3になった。

 早いやつは3年になる前から受験勉強してたし、クラス替えがあったくらいで特に変わったことは無い。

 真昼とは3年間同じクラスだった。

 夜空は逆で3年間違うクラスだったな。

 俺はもう既に切羽詰まっていた。

「痛っ!」
「朝日!どうしたの⋯って指が⋯」

 今までになかったペンだこは大きく膨れ、弓を持つ右手にはまめ、弦を押さえる左手は擦れて赤くなっている。

 所々切れているところもあって、物を触るだけでビリッと電流が流れるような痛みが走った。

「今日は練習を休んで。こんな手じゃまともに演奏もできないわ。」
「いや、これくらい大丈夫だ。これくらい⋯」
「ダメよ!もっと悪化したら⋯」
「いいんだよ!やるやらねぇは俺次第だ!」

 握られた右腕を振り払うと、夜空は後ろに転んだ。

 はっと我に返ると、何事かと真昼がリビングにいた。
「夜空⋯!その…」
「お姉ちゃん⋯!大丈夫?!朝日あんたね!」
「大丈夫。朝日は悪くないわ、怒らないで。少し干渉しすぎたわね。ごめんなさい。朝日の好きにしたらいいわ。」
「夜空⋯」

 部屋に戻るのに俺の横を通った。

「でも、忠告はしたわよ。」

 冷気がまとわりつくような感覚がした。

 今の言い方はまるで未来が見えているかのようだった。

「朝日、ちょっと来て。」
「真昼、だから俺今から」
「いいから!」