次の日、朝夜空の姿はなく、テーブルには朝食と弁当が置いてあった。
置き手紙には『道場に行ってくる』の文字。
どうやら朝練に行ったようだ。
今日も朝からパラパラと雪がちらつき、凍えるほど寒い。
全国制覇を目指し、あいつを抜かすことを目標に日々稽古している夜空。
俺も真昼もバスケ部だが、そこまで強くなくいつも地区大会で終わってしまう。
というか俺は高校最後の大会をベンチにしてもらった。
心配したのは指の負傷、元々キャプテンとかそんなんじゃなかったし、今はチェロの方が優先したかった。
まあ、夜空にそんなことが出来るはずもなく、俺らよりも何倍も忙しない日を過ごしいた。
「ねぇ、朝日今大丈夫?」
「おぉ、何だ?」
「これ、なんか足んないと思うんだけど⋯何かなって。」
見せてきたのは服のデザイン画。
フォーマルなスーツ風の黒い男性服、確かに何か物足りない。
「そうだな⋯アクセント欲しいかも。ほら、ピアスとかネックレスとか、」
「あぁ!なるほど⋯」
ありがとう、と去り際聞こえてきた。
真昼は音楽の道から離れ、ファッション系の大学進学のために、暇さえあればアイディアを考えていた。
そのために買ったメモ帳は既に3分の1が埋まっている。
フランス語を勉強する傍ら、アイディアを絵におこしてまた考える。
ひたすらそれを繰り返してるようだ。
こちらも前より意欲と活気に溢れていた。
楽しそうだ。
徒歩で登校してる俺らは、夜空を迎えに行ってから登校した。
待ち時間はいつも単語帳を開いて、単語を詰め込む。
なんせイギリスの大学に行くには、あっちの公式スコアを取らなくちゃなんない。
もちろんだけど、日本語版なんてあるわけない。
そのため日常英語と別に専門的な英語の両方を覚える必要がある。
授業もあるし留学準備で休み時間も勉強してるから、ガリ勉化したと学年中が噂した。