夜が過ぎれば、嫌がっても明日が来る。

「俺はな?夜空がフルートを投げたから、それ相応の罰をやっただけだ!」
「それでも!殴っていい理由にはならないでしょう!?」
「うっせぇ!義母さんは黙ってろ!これは俺と李月の問題だぁ!」

 あぁあぁ、荒れてる荒れてる。

 よく本性を隠して生活していたことだな。

 それを夜空で吐いていたというとこだろうか。

「おい!李月!おめぇはどうなんだよ!散々支えってやったつぅのによ、仇で返すのかぁ?!ふざけんなよ!」
「わ、私は⋯!」

 少し荒くドアを開けて入る。

 大きな音に皆が俺に視線を向ける。

「おっと!これは失礼。」
「誰だぁ?!てめぇ!部外者は出てけぇ!」
「残念ながら、部外者じゃないんですよ。実は昨日ね、李月さんが俺に泣きついてきたんです。『娘が旦那に殴られていた』と。」

 旦那の目が大きくなる。

「てめぇ⋯!」
「俺は、夜空ちゃんにも真昼ちゃんにも会ったことがないので、言いたいのはそこじゃないです。」

 ゆっくりと歩みを進め、距離を詰める。

 胸ぐらを掴み、顔を近づけた。

「俺は!李月を泣かせたことにキレてる!旦那なのに妻の笑顔を守ることも出来ないのか?!なんのためのお前なんだ!答えろ!」
「おま⋯!」

 俺は人生一キレていると思う。

 今の俺に理性はない。

「答えられないのか?なら、さっさと李月から離れろ⋯!二度と⋯李月に近づくな!」
「さっきから!ごちゃごちゃうっせえなぁ!」