まぁ、そこでも運は回ってこなくて、息子がいるにも関わらず、俺のいない所で不倫をしていた。
李月の結婚から13年経つ頃だ。
さすがの俺も人生の上手くいかなさに、生きてることが嫌になった。
上の息子も亡くして、恋も実らず結婚した妻には不倫され離婚。
「父さん⋯?寝てよ、俺父さんが寝たの最近見てないよ。」
「そう、だっけ?わかったわかったから、朝日も寝ような。」
「う、うん⋯」
こんな父親、ダメだ。
早く立ち直らないと、いくらため息をつこうが状況は変わらないのだから。
そんな俺にもやっと運の回ってくる日が来た。
「陽翔くん⋯!うわ〜〜〜〜ん!」
「李月さん!?ど、どうしたの?!」
楽団の皆と次の公演に向けて打ち合わせをしようとしていたところだった。
「と、と、とりあえず、座ろうか。」
李月は結婚したタイミングで帰国、この楽団の一員となったが、話す機会はそうなかった。
「副団!どこっすか?!」
「ごめん、ここだ。団長に俺と李月さんは遅れるって言っといてくれ。」
この後輩くんは察しがよく、俺の胸で泣く李月の姿を見て、何も言わず親指を立てた。
「はっ!ごめんね⋯!私、陽翔くんに凄く嫌な思いさせちゃったのに⋯!」
「大丈夫だよ。こらこら、目擦っちゃダメだよ。」
顔を離しても、涙は止まらず袖で目を押さえていた。