「んんっ!とにかく、覚悟が固まってるなら、近いうちからその準備を始めなきゃいけないね。夜空ちゃんは、他にも目標あるだろうし。」

 夜空の目標、それはきっともうひとつの相棒のこと。

「私は元から覚悟なんて決まってるわ。ただ、反対されるのが怖かっただけ。それ以上のことなんてないわ。」
「私も!1回自分の中で諦めてたけど、もう絶対諦めたりしない!」
「俺は、多分1人ならできないと思う。」

 胸元においた手を見るよう俯く。

 自然と手に力が入った。

「今はでも、夜空がいる。父さん李月…否母さん、真昼がいる。頼るわけじゃないけど、今の俺なら出来る。絶対にやってみせる。」

 李月はハッとしたような顔をした。

「朝日…3人ともいつの間にか大人になって…分かったわ、私たちはあなたたちを信じます。応援するわ。」

 李月は早速、知り合いのフルート奏者とチェロ奏者に連絡を入れていた。

「良い先生見つかるかしら。」
「プロになるにしても、デザイナーになるにしても、留学を視野に入れるべきか。真昼は決まってるんじゃないか?」

 もち!と笑顔を輝かせる。

「やっぱ、フランスに行きたいんだよね。ほら、最近ずっとフランス語勉強してたでしょ?」
「あぁ、そのためにか。」
「ま、日本語以外にも何か話したかったしね。」
「あ、なら!」
 
 李月は何かを思い出したように、スマホで調べ始めた。