「そんな時に励ましてくれたのが彼だったけど、とんだ暴力男だったわ。おかげで大切な娘達を傷つけちゃった。」

 優しく大事そうに頭を撫でる。

「いい?どんなに励まして支えられても、どこの馬の骨か分からないような男には、ついて行っちゃダメよ!」
「分かってるけど、お母さんが言っても説得力ないわ。」
「それは父さんもだけどな。」

 3人でクスクスっと笑う。

 居ずらそうに苦笑いする2人。

「まあ、私は朝日を信じるわ。」
「同じく。でも、隠し事はしないで欲しいな。今回夜空は『大丈夫』って言ったからな?全然大丈夫じゃねぇじゃん。」
「それは…!朝日に迷惑かけたくなくて…」

 花に触れるように、夜空の白い手をとる。

「迷惑じゃねぇって。むしろ隠される方が辛い。なんでもいいから、わがままでも相談でも、ちょっとでもいいから、話してくれると嬉しいんだよ。」
「そう…なのね。ありがとう、朝日。」

 桃色の視線に気づき我に返る。

「あらまぁ。朝日、かっこいいじゃない。陽翔くんより男らしくてステキね!」
「うっ…!お前…いつの間にそんなに男らしく…!」
「そうゆうのは2人の時にやってよぉ!私、可哀想!」

 お決まりのぶりっ子ポーズと合わせた、台詞を言う。

「そんなこと言ったら、いつも『恋バナしてるから来ないで!』って言われる俺、可哀想!」
「いつも2人だけでバスケしてるじゃない。仲間はずれな私、可哀想。」
「「え…ごめん…」」
「なんで私だけ深刻そうなのよ。」

 姉弟コントみたいで、思わず笑いが吹き出た。