また、夢だ。

『お前ほんと無表情だな。笑えよ。』
『不可能…何も知らない癖に…』

 なぜそう距離を取るのだろう?

 当時の俺はそればかりに疑問を抱いていた。

 俺と妹が遊んでいても、何も言わず知らんぷり。

 極力欲は出さず、いつも言うのは「なんでもいい」。

『なぁ、夜空。お前も一緒にバスケし』
『断るわ…』

 最後まで言わせろ、と心底思った。

 その日の夜、夜空は熱を出した。

 丁度両親が出かけている時で、2人で交代制で看病することになった。

『夜空、夕飯食えそう?』
『……食欲無い...』

 目には涙が浮かんでいる、辛そうだ。

 もしかしたら昼間も熱があったのかもしれない。

 ずっと我慢して……

『じゃ、ゼリーでも』
『やだぁ…一人にしないでぇ…』

 普段とは正反対の姿に、口が開きっぱになったのを覚えている。

『あさひぃ…』
『分かった、分かったから。』

 困った反面嬉しかったなぁ。

『なぁ、元気になったら、俺らと遊ぼう?お前が笑うなら、なんでもいいから。』
『スースー』

 まだわかんないことが多すぎて、手探りで、それでも仲良くなりたかった。

 もうその頃から好きだったのかもしれないな。