その日一星が泊まる都合上、夜空は俺と、真昼は一星と寝ることになった。

「なんか、慣れたな。」
「そうなの?私はまだドキドキしてるのに…」

 の割には距離がない。

 胸の中に収まっている。

「どうした?」
「少し…考え事してたの。いや、考え事というより、過去を思い出していた、の方が正しいわ。」
「例えば?」
「初キスとか、プレゼントとか、色々よ。」

 うわ、恥ず…っと心の中で呟く。
 
 ふ〜、と安心したため息を吐く。

「そういえば、朝日に身長抜かされたのっていつかしらね。あんなに小さかったのに。」
「またそれか?ちなみに今は何cmよ?」
「あれからそこまで伸びてないわ。168くらいかしら。」

 元父は知らんが李月は確かに大きい方だった。

 並ぶと父とそう変わらない身長に、彼を馬鹿にしたことを思い出す。

「まあまあ大きいな。俺がもうちょいで80だから、10cm以上は差あるな。」
「私と会った時156だったのよ?80cmなんて半分じゃない。可哀想に。」
「180cmな?!」

 夜空がボケるなんて珍しいが、口元を押さえて笑っている。

「ったく。ほら、寝んぞ?」
「嫌よ。寝たら朝日とこうやって寝るのいつになるか分からないじゃない。もっと朝日といたいのに…」

 おいおい可愛いな、己との戦いが案外難しい。

 頑張れ俺の理性、李月に釘を刺されているだろう!、と黙って叫ぶ。

「ねぇ…?」
「っう…!寝ろ!」
「ムッ…失敗ね。残念ね…」

 外側を向いた俺の首筋に軽くキスした。

「イイ子…ふふっ。」

 耳元はほんとやめて欲しい。

 でも、ほんとに夜空が好きなのだと自覚した日でもあった。